★詠唱魔術 |
詠唱文を唱えたり複雑な印を切ることによって発動する、一般的な魔術です。魔術の大半はこの形式で発動されるので、普通は「詠唱魔術」ではなく、単に「魔術」と呼称されます。 この形式の魔術は、大抵発動過程時間(プロセス)が長く、そのうえかなりの集中力を有します。雑念や物理的な邪魔で集中力を乱されると、初めからプロセスをやり直さなければなりません。戦闘時ともなれば、他人に守られながらでないと使うことは出来ないでしょう。 しかし、時間を犠牲にした分のメリットはあります。詠唱や印組みは、魔術を発動する上で欠かせない動作であると共に、急速な精神力の消費を抑えて術者を安定させるという役割を担っているのです。きちんとした過程を経ることで、術者自身の精神、そして魔術の効果が安定します。 |
★簡易魔術 |
プロセスを極限にまで減らし、行使する力の名称のみを唱えたり、簡単な印(指を向ける等)で発動する短縮発動魔術、それが「簡易魔術」です。単にプロセスを減らすだけならそれは短縮魔術ですが、この場合は最後の段階である「発動」のみをもって魔術を行使します。 当然ながら発動時間は極端に短く、隙がほとんどありません。まさに実戦向けの魔術と言えます。ただし、必要とする技術力は桁違いで、詠唱魔術に比べると威力が多少落ちます。そのうえ、精神を安定させる為の必要動作を欠いている訳ですから、魔術の素人が下手にこの方法をとると精神の崩壊にすらつながる危険性もあります。達人ともなれば、それほど威力を落とさずに簡易魔術を行使することも可能ですが、戦闘を除く殆どの場合は詠唱を許す時間があることの方が多いので、無理にこの発動方法を使おうとする者は少ないようです。(習得してるか否かは別にして) この発動方法で魔術を扱える者は、強靭な精神力の獲得と膨大な知識の習得によって自然にプロセス短縮の法則を会得したか、または使う力を限定し、それだけを昇華させ、単に慣れで扱えるようになったか、いずれかの場合のみでしょう。(魔法戦士や騎士タイプの人間には後者が多いようです) |
★生活用術具 |
一般人用に調整された、日常生活用途の術具。庶民がお目にかかりやすい術具といえばこれでしょう。 使い捨ての「手持ち全身懐炉」「念写式撮像紙」などといったものから、家屋設備として何度でも使える(寿命はありますが)「光源」「冷暖房具」「調理器具」といったものまで、実に様々な種類の生活用術具があります。気楽に買い求められるのは、やはり前者です。後者は少し値が上がるので、裕福な家庭でないと手に入れることが出来ませんが、たまに専門店で季節の変わり目売り尽くしバーゲンフェアとかやっているようです。 |
★空術具(発動補助媒体) |
術具の中には、賦与魔術 素材には特徴があって、特定の魔術の発動を手助けする力が含まれています。これらと併用することで魔術の威力が強化され、短縮発動に似た効果を得られるのです。 魔術を習いたてでまだ発動も覚束ない初心者は、大抵これら空術具の力を借りることで、初めて力を行使することに成功します。しかし、初心者だけでなく、達人に至るまで愛用されているのがこの術具の特徴であり、まさに魔術師御用達の道具であるといえます。 (魔術師ギルドの身分証明として扱われている宝石にも、若干ながら魔力を強める効果があります) |
★永続術具 |
魔術を永続的に使用出来るようになる、特殊な術具です。 一般に術具とは「魔術の効力が込められた道具」のことを指しますが、その魔力は無限ではありません。使用を重ねれば、遅かれ早かれ込められた魔力はいつか必ず枯渇する日が訪れます(空術具は除きますが)。術具には寿命があるのです。 この【永続術具】は、それら一般の術具とは根本的に内部構造が異なっていて、寿命という鎖から解放されています。 そのからくりは、擬似的な【魔力変換部位】と【古の知識】が搭載されているという点にあります。つまり、この永続術具とは装備者の精神力を糧とすることで機能する術具なのです。 精神力は生きとし生ける全ての者に流れる力ですから、これを身に付ければ一般人でも魔術が発動できるようになります。しかも、その発動は全てが「簡易魔術」形式。手に入ればこれほど便利なものはありません。 しかし、多少の欠点もあります。まず、それだけの構造を有していながら使える魔術はその術具に込められた力一つ限りであること。そして、詠唱酔い このタイプの術具は非常に希少性が高く、存在はあまり知られていません。価値も大きく、これ一つで王都の一等地に大きな屋敷が一つ建てられます。もちろん、込められた魔術によっては、値段も更に変動するでしょう。 |